長友佑都の肉体改造支えた「究極食事法」の秘密

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サッカー日本代表として活躍中の長友佑都選手が、圧倒的なパフォーマンスを発揮できる秘訣とは?

 

サッカー日本代表、不動の左サイドバックである長友佑都選手が6月20日、『長友佑都のファットアダプト食事法 カラダを劇的に変える28日間プログラム』を上梓した。

 

「ファットアダプト食事法」とは、端的に言うと、糖質の代わりに積極的に脂質を摂ることで、自分の体を「脂質適応状態」にし、体脂肪を燃えやすくする食事法。
過去に徹底した糖質制限やグルテンフリーの食事も試してきたが、なかなか思ったように結果に結びつかなかったという長友選手は、2017年よりこの食事法に取り組み始めたという。

 

その結果、細胞レベルからの肉体改造に成功、32歳で迎えた2018年のロシアワールドカップでは、圧倒的なパフォーマンスを発揮した。今では「プロ1年目からこの食事法を取り入れていたら、レアル・マドリードに入れたかもしれない」とまで語るほどだ。またこの食事法を始めてから、背中の大きなニキビなど、長年悩んできた肌のトラブルもウソのようになくなったという。
これまでに「体幹」「ヨガ」など、パフォーマンス向上のためにストイックに取り組んできた長友選手が、紆余曲折を経て最終的にたどり着いた「ファットアダプト食事法」とは何なのか。

 

ベルギー戦の後に思わず出た本心

 

ちょうど1年前の2018FIFAワールドカップ・ロシア大会。日本代表は予選グループHを1勝1敗1分で勝ち抜いて決勝トーナメントに進出。初めてのベスト8入りをかけてベルギーと対戦して、惜しくも2対3で逆転負けを喫した。

 

 このゲームが終わった後、僕はメディアのインタビューに対して次のように答えた。

 

 「また4年後のワールドカップを目指します」

 

 これは前もって用意していたコメントではなく、ベルギー戦を終えてとっさに出た本心。いわば本能から飛び出した言葉だ。

 

 最後の最後での逆転負けのショックで茫然自失としている選手もいたし、涙に暮れる選手もいた。それでも僕が前を向いてポジティブな発言ができたのはなぜか。

 

 それは僕自身が肉体的にも精神的にも絶好調であり、ロシアでワールドカップに改めて魅了されたからだ。だからこそ、またこの舞台に戻りたいと素直に思えた。

 

 一般的にアスリートは加齢とともにパフォーマンスが落ちるとされている。それなのに、32歳の年で迎えたロシア大会で僕が絶好調だったのはなぜか。その秘密は食事にある。食生活を変えてから僕はフィジカル的にも、メンタル的にも、自分史上最高に仕上がっている。現在プレーしているトルコ・スュペル・リグのガラタサライSKでも、満足できるパフォーマンスができている。

 

 その食事こそ、本書のテーマである「ファットアダプト食事法」だ。

 

それは簡単に言うと、エネルギー源として脂質(ファット)を上手に使えるファット・アダプテーション(脂質適応状態)になるための食事法。糖質の摂取をコントロールして血糖値の乱高下を抑えて、良質のたんぱく質と脂質を積極的に摂るのだ。

 

 カラダのエネルギー源になるのは、糖質、脂質、たんぱく質の3大栄養素。

 

 このうちたんぱく質は筋肉などのカラダを作る役割のほうが優先なので通常はエネルギーとして用いられない。スポーツ時などは、筋肉を作っているたんぱく質がアミノ酸に分解されてエネルギー源となるが、その割合は決して高くない。だから、シンプルに言うとエネルギー源は糖質と脂質だ。

 

 

ファットアダプト食事法(以下、ファットアダプト)とは何か

 

 それは簡単に言うと、エネルギー源として脂質(ファット)を上手に使えるファット・アダプテーション(脂質適応状態)になるための食事法。糖質の摂取をコントロールして血糖値の乱高下を抑えて、良質のたんぱく質と脂質を積極的に摂るのだ。

 

 カラダのエネルギー源になるのは、糖質、脂質、たんぱく質の3大栄養素。

 

 このうちたんぱく質は筋肉などのカラダを作る役割のほうが優先なので通常はエネルギーとして用いられない。スポーツ時などは、筋肉を作っているたんぱく質がアミノ酸に分解されてエネルギー源となるが、その割合は決して高くない。だから、シンプルに言うとエネルギー源は糖質と脂質だ。

 

主要なエネルギー源は脂質

 

 糖質と脂質は体内ではつねに一緒に使われている。その利用率は、どのくらいの強度で活動しているか、つまり活動強度で変わる。

 

 日常生活のように、活動強度が低いときは、脂質がメインに使われている。

 

 ビジネスパーソンが朝起きてバスや地下鉄でオフィスまで行き、デスクワークをこなして帰宅する。あるいはお母さんが朝子どもを保育園まで送り、パートタイムで働いてから、夕飯の買い物をして子どもを迎えに行く。こうした日常生活では、基本的に脂質がメインのエネルギー源になっている。

 

 スポーツ時のエネルギー源も、大半は脂質で賄われている。マラソンやトライアスロンのようなスポーツでも、そしてサッカーでも、主要なエネルギー源は脂質だ。

 

 糖質が盛んに使われるのは、活動強度が跳ね上がったときだ。筋トレで重たいウェイトを急に挙げたり、全力で短距離ダッシュをしたりする瞬間である。サッカーでも、僕が全力ダッシュで左サイドを駆け上がるときは糖質の利用率が上がる。

 

 つまり、ごく一部の例外を除くと日常生活でもスポーツでも脂質がメインのエネルギー源。脂質をいかに効率的に使うかがポイントである。

 

 日常生活で脂質を上手に使えないと、余った分は体脂肪として蓄積される。それが日々積み重なると肥満を招いてしまう。スポーツ選手は脂質をうまく使えないとパフォーマンスが落ちる。持久力がなくなり、スタミナ切れを起こすのだ。

 

糖質を減らして、脂質の摂取量を増やすと、活動強度が低いときには脂質がよりエネルギー源になりやすい。ファット・アダプテーションが起こりやすいのだ。逆に糖質を摂りすぎると、活動強度が低いときでも、脂質がエネルギー源になりにくくなる。

 

 メカニズムは次の通りだ。

 

 脂質は、体内では脂肪細胞に中性脂肪として収められている。これがいわゆる体脂肪の正体だ。皮下に集まった脂肪細胞に貯められているのが、皮下脂肪。内臓のまわりに集まった脂肪細胞に貯められているのが、内臓脂肪である。

 

 皮下脂肪も内臓脂肪もつねに分解されており、それが筋肉などのエネルギー源として利用されている。

 

 食事から糖質をたくさん摂ると、この体脂肪の分解がストップする。糖質を大量に摂ると血糖値が上がり、すい臓からインスリンがどっと出てくる。インスリンは筋肉や肝臓などに血糖を取り込ませて血糖値を下げると同時に、脂肪細胞で続いている体脂肪の分解をストップさせる。そればかりか、インスリンは血糖値を下げるために、血糖を脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪に変えてしまうのだ。

 

 

糖質の摂りすぎは体脂肪の蓄積を促進させる

 

ちなみに食べた油がそのまま体脂肪になることはない。

 

 体脂肪は、脂肪細胞に中性脂肪として貯められている。中性脂肪も、食べる油と同じく3個の脂肪酸と1個のグリセロールからなる。そうなると食べた油⇒中性脂肪という直通ルートがあるように思える。でも、違うのだ。

 

 食べた油は脂肪酸とグリセロールに分解されて吸収される。このうち、脂肪細胞に入れるのは脂肪酸だけ。中性脂肪=脂肪酸+グリセロールだから、片割れのグリセロールがないと、いつまで経っても中性脂肪は合成されない。

 

 このグリセロールを作るのが、実は糖質=血糖。

 

 食後に血糖値が上がるとインスリンによって血糖は中性脂肪に取り込まれた後、グリセロールに変化する。食べた油からの脂肪酸と、血糖からのグリセロールが出合い、中性脂肪が体脂肪として脂肪細胞に蓄積される。体脂肪は脂質と糖質の合作。だから、糖質の摂りすぎは体脂肪の蓄積を促進させてしまうのだ。

 

 僕は、ファットアダプトを始めて1カ月もしないうちに、脳も筋肉も思いどおりに働くようになってきた。集中力も途切れないし、カラダのキレもスピードも増した。

 

いまは20代のときよりもコンディションがよく、試合でも90分を通して高いパフォーマンスを発揮できている。糖質と脂質を適材適所で偏りなく使えるようになったのだ。

 

 まるで燃費が悪くて足回りもイマイチだった古めかしいセダンが、ガソリンでも電気でも走れるハイブリッドのスポーツカーに一気に進化したような感じ。僕にとってのブルーオーシャン(未開拓の市場)は食事だったのである。

 

 ファットアダプトの威力を知っていたら、僕はプロになった瞬間から実行していただろう。

 

 もしもプロ1年目からファットアダプトを実践していたら、いったいどうなっていただろう。そんな想像をすることもある。それ以前の食事法でもインテルで普通にやれていたわけだから、スペインのリーガ・エスパニョーラの強豪レアル・マドリードに入って世界を驚かせるような活躍ができたかもしれない。真剣にそう思うときもある。

 

 自らの歩んできた道に一片の後悔もない。ただ、思わずそういう想像をしたくなるほど、ファットアダプトの効果はすばらしい。

 

運動する人、しない人にも有効な食事法
僕はファットアダプトを2年近く続けてきた。その経験で本当にいいものだと実感したからこそ、今回ファットアダプトの本を出そうと決意した。

 

 誤解しないでほしい。ファットアダプトは僕のようなサッカー選手、あるいはアスリートだけに適した食事法ではない。

 

 子どもにも大人にも、男性にも女性にも、そして運動をする人にも、しない人にも有効だ。フィジカルもメンタルも最高のコンディションに整えてくれる。

 

 僕ら一人ひとりは遺伝子レベルで体質が異なる。だから僕のやり方が、万人に100%無条件にマッチするわけではない。ただこれまで2年近くの経験、ドクターが示してくれる数々のエビデンス(科学的根拠)から、ファットアダプトのベースとなる発想に間違いはないという自信がある。あとはそれぞれの体質や生活習慣に応じ、柔軟にアレンジしながら食生活に取り入れてほしい。うまく行けば1カ月で変化が自覚できるだろう。

 

 僕が身をもって経験したように、食事が与える影響は想像以上に大きい。

 

 食事で心身が整えば、一人ひとりがそれぞれの夢により近づけるに違いない。夢が現実的な目標になり、目標を一つひとつクリアしていくうちに、人生はいま以上に豊かになる。ファットアダプトでそのお手伝いができるとしたら、著者としてそれ以上の喜びはない。

 

引用:東洋経済ONLINE 2019/6/28